第6章 綾人について
人間界にはむやみやたらと行ってはいけない。
生で人間を見て、匂いを嗅いでしまったら、ただただ本能的に人間の血を求めてしまうだろう。
一般的に、血を飲むには売っている血を買う。
ジュースみたいに売られている血を買って飲む。
吸血鬼同士で血を飲むのもよくあるらしい。
だから、人間の血を生で飲むなんてことはほぼない。
そんなある日、綾人の兄が人間界に行った。
人間界に行くことは出来るのだけど、申請を出さないと行けない。
兄は申請を出してさえいなかった。
そして、人間界に行くにあたって守らなければいけないことが4つある。
1つめは、嗅覚を麻痺させる薬を飲むこと。
2つめは、1週間以内に帰ってくること。
3つめは、人間の血を吸わないこと。
4つめは、吸血鬼という存在がばれないようにすること。