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僕の大型鰐

第6章 意外に繊細なんです/前編


「お疲れさん。相手、そんなに強かった?」

シャルラがクロコダイルの隣に腰かけて彼の顔を覗き込んだ。

「いや…そうでも、なかった」
「じゃあなんでそんなに疲れてんのさ」
「疲れてねぇ…!……数が無駄に多かったから、時間がかかっただけだ」
「嘘ばっかり」
「サー、お風呂の準備が出来たわよ」
「…今行く」

ロビンに声をかけられてクロコダイルはすぐに身を起こした。疲弊した理由は言いたくないらしい。
シャルラは起きてからずっとクロコダイルが海賊討伐をしている様子を見聞色の覇気で覗いていた(といっても気配がわかるだけだが)。相手の数は大したものでもなかったし、特別強い者もいない、レッドラインを超えられたのすら不思議なくらいの弱小海賊団だった。けれど突然クロコダイルの動きは鈍り、攻撃を受ける時に一度だけ、彼は砂にならず自分で避けた。その後は一瞬で全て片付いたから、あまり気にしなかったのだが…
今こうして見るとやはり、大した変化ではないが明らかにダメージを受けている。肉体的なものではない。精神的なダメージだ。
なぜ弱小海賊団なんかにクロコダイルが精神的ダメージを受けなければならなかったのか。それはその海賊団を見に行った方が早いだろう。確か、クロコダイルが討伐した海賊は彼の手で直接王宮に届けられていた筈だ。

「面倒くさいけど…愛しい恋人の為だもんね」

一人呟いて、シャルラはソファーから立ち上がった。
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