第11章 雨の味
「きっとそうだよ。
雅紀からもするよ?
俺と同じ雨の匂いがね」
セットされてない雅紀の髪をすく。
「俺…智にこうされるの好きかも…」
「俺も。
雅紀にこうするの好きだよ」
「智、チューして?」
顔を上げ、唇を突き出す雅紀。
「チューだけだからね」
その唇に自分の唇をゆっくりと重ねる。
チュ…という控えめな音が響いた。
「智ってば、ビールの味がする」
「雅紀こそビールの味だよ」
「同じだね、俺ら」
「うん」
「大好き」
チュッと首筋にキスされた。
「そこくすぐったいよ、雅紀。
それにそういう大事なことはちゃんと俺の目を見て言ってよ」