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【イケメン戦国】私と猫と

第25章 桜の咲く頃  二幕(六歳)


だが、それはほんとうに一瞬だった
目の前の小さな背中の主は、自分をまだ知らないのだ
「兄」のようだと慕った自分を
手をぐっと握っている様を、光秀は横からしっかりと見ていた

「確かに、珍しい物をもらったな。湖」
「うん!ととさま、あとで一緒に食べようね」
「湖様、お待ちを。一度、毒味を…」
「めっ!かねつぐ!だいじょうぶだもん!ひでよしさまは、そんなことしないもん!」
「…確かに。お前にそんなことはしないだろうが、念のためだ。言うことを聞け、湖」
「…わかった」

信玄に小瓶を見せ喜んでいた湖だったが、謙信に言われ一度小瓶を兼続にしぶしぶ手渡す
秀吉はその様子を苦笑してみていた

(俺も同じ事を言うだろうな…)

「かねつぐ…はやめにかえしてね」
「解っております」

悔しそうに信玄に抱きつく湖は、やはり小さな童なのだ
秀吉と光秀は顔を見合わせ苦笑した




こうして、二人はこの日から春日山城に毎日参上することとなる
兼続の監視の下に




兼続と言えば…三成からの贈り物
それは、やはり文句なく兼続の心を鷲づかみにするのだった
(あぁ…石田殿、本当に貴殿とは趣向が揃いまする!)
初めて見たその本を崇めるように見る兼続に、同じ家臣の者がため息を零した

「あぁ、また兼続様のあれか…」

本人曰く、思わぬ本を手に入れたときの動作らしいそれに、本に興味のない家臣はため息を零すだけなのだった




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