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【イケメン戦国】私と猫と

第25章 桜の咲く頃  二幕(六歳)


兼続は連れてきた馬のたてがみを撫で教えてくれた

湖が、馬を乗りたいと言いだした日からちょうどいい馬をと探し、調教を済ませ
謙信が用意してくれていたことを

「っ、わたし、けんしんさまに、おれいをしなきゃ」
「夕餉の時間に致しましょう。今、殿は広間にて政務中のため人払いをされておりますので」
「わかった!あとで、おれいを言う」
「はい。では、某も政務にかかります。念のため、佐助殿と白粉殿にはこちらに来られるように声をおかけいたしますので」
「うん」


しばらくすると、佐助と白粉がその場に現われた
湖は、馬の扱い方について三成に話を聞き、興味深そうに色々聞き返している
そして三成と共に馬に跨がったり、馬を繋いだまま一人で跨がったりとあっという間に時間が過ぎた
しばらく見守っていた佐助はその様子を見届け部屋に戻り、白粉も柱に寄りかかり目を閉じていた

「む、難しい…っ」
「そうですね…まだお体が小さいので…やはり馬の体を足で挟むのが大変ですね…」
「ん…。でも…がんばるっ」
「はい。湖様ならきっとできます」

にこりと微笑んだ三成を、馬に跨がった湖は少しだけ見下ろすような角度で見た
そしてうっすら頬を染める

「湖…様?」
「…みつなりくんのえがお、湖、すごくすき。ふわふわってくすぐったくなる」

小さな手が三成の頬に触れる
すりっと、頬を滑らせるのは柔らかい幼子の指
頬を染め、目を柔らかく細めた湖の表情は大人びて見える

「……湖様」

小さな指に、指を絡めるように小さな手を握った三成
湖は、はっと気づいたように…

「あ、ごめんなさいっ」

と、真っ赤になってその手を引こうとした
すると、かるく手をつかまれ、その手に感じたのは柔らかな感触

「…みつなりくん?」

ふわりと手に甲に落とされたのは、三成の唇で…

「おまじない?湖、手怪我してないよ?」
「…ええ。これは、おまじないです。湖様が上手に馬に乗れますように…と」
「っ、ありがとー。うれしい」

次に見せたのは、こどもらしい笑みだった
白粉はその様子を黙って見ていた
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