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【イケメン戦国】私と猫と

第28章 桜の咲く頃  四幕(十二歳)


「お前らしい名だな」

そう前から謙信の声が聞こえてくる
同時に謙信の馬が速度を上げた

「謙信様、ほどほどに」

佐助がそう言うものの、湖は嬉しそうに馬の腹を蹴るのだ
そこからは、湖の様子を見ながら馬を走らせ
しばらく進んだところで、五人は茶屋に入った

「「うん。ここの栗団子、上手いな(美味しいね)」」

同じような仕草で団子を食べる二人を、幸村が呆れた様子で横目で見る

「あんたらは…」
「「ん?」」

湖と信玄の小首を傾げるタイミングが揃えば、佐助は「父上に似てきましたね」と冗談めかしく空笑いを見せるのだった

「湖、まだ速度を上げられそうか?」
「うーん。もう少し…だけなら平気だと思う。あの子、小さいけど…小さいからかな?闘争強くって、前に前に行こうとしちゃうみたいなの。きっと他の馬と一緒に目一杯速度あげたら、私の言うことまだ聞いてくれない気がする」

んーと、お茶を飲みながら答えれば

「まだ。なんだね」

と佐助が意味深に声を出す

「うん。いっぱい乗ってたら、もっと仲良くなれると思うんだ」
「湖さんらしいな」
「なら速度は変えず行く…単独の場合は、速度を上げても問題ないんだな?」
「はい、謙信さま。大丈夫ですよー。あー見えて、風花。すごく足の強い子だから、ちょっとした崖だってくだれちゃいますよ。きっと」
「「それは、止めろ(止めてくれ)」」
「…幸と佐助兄さまは、ほんと仲良しね」
「あ、亭主。団子追加なー。湖も食べるか?」
「んーー、あと一口食べたいから、ととさまのちょっとだけ頂戴?」


こうして茶屋を出て、海に着けばそこは


「わぁー。広―い!冷たーい!なんか、しょっぱーいっ!」

草履を脱ぎ、裸足で海辺を走る少女がはしゃぐ
湖は、海に着くと早々に馬を繋ぎ走り出し
今は、謙信達から少し離れた場所で駆けてた

「おーい。湖―、あんまり遠くにいくなよー」

手綱を括りながら信玄が注意をした

「はーい!ととさまー。あ、脱いでいーい?」

物わかりのいい返事と共に、とんでもない言葉が聞こえてきて

「…っはぁ?!なんて言ったっ湖っ!」
「袴っ、濡れちゃうからー!」
「ちょっと、待ってっ!湖さん!!」
「馬鹿猫っ」
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