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【医療】Leben 〜レーベン〜 <修正中>

第7章 戸惑う心


「ないです……けど」
「だったら聞かないで、迷惑だから」


出来ることなら2度と思い出したくないことだから。


「すみません……」
「相変わらず言い方がキツイなぁ、神那さんは」


少し遠くから聞こえた、柔らかく少し高めの声。
その声に聞き覚えがあった。


「藤代」


声の聞こえた方を振り返ると、ステーションの入口に髪を明るく染めた男が緩く手を振りながら立っていた。
細身だけどしっかり筋肉のついてバランスの良い身体。
神崎とは違った笑顔を浮かべる男は名を藤代と言う。


「あ、ふ、藤代先生じゃないですか!」
「久しぶりやね。神那さん、水原」


藤代悠。
以前ここに研修に来ていた内科医で私の育てた初めてのフライトドクターだ。
内科医でありながらも外科の仕事も出来、その場にあるもので対応する発想力や順応性に長けている。


「あれ、今日は純さんは居らへんの?非番?
久しぶりに純さんにも挨拶しときたかったのに」


焦げ茶色の髪を撫でながら尋ねる。


「講演会」
「なるほどなぁ、また神那さんが拒否ったんやろ。
あ、今日から救命に勤務になった内科の藤代やで。
よろしくな?」


2人しか居ないステーションで挨拶をする。
救命医が増えるなんて情報は聞いてない。
でも万年人手不足の状況からすれば、藤代の加入は有難い。
他の医者なら別だけど。


「他んとこはもう挨拶行って来たから」
「そう。よろしく」
「よ、よろしくお願いしますっ」
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