第19章 徹と涼
「涼、学校はどう?」
「楽しいよ!卒業したらパリに留学することも考えてるんだ。」
「凄いじゃん!涼の作ったケーキ食べたいなぁ。」
「今度作って持って来ようか?」
「…今はね、食事制限があるから食べれないけど…私が元気になったら作ってくれる?」
涼の気持ちは嬉しかったが、今は食事もかなり制限されているため、気持ちだけ受け取った。
涼は悲しげに微笑んだ。
「わかった。その時はいっぱい作るね。」
「ありがとう、涼。」
その時は…来るのだろうか。
一瞬そんな事を考えてしまった。
「そういえば涼、この辺りで正社員募集してる所知らない?」
「正社員…?うーん…。」
涼は少し考える仕草をした。
「あ、僕の友達が眼鏡屋さんに勤めてるんだけど、人手不足って言ってたよ。」
「眼鏡屋さんかぁ…。」
横目で徹を見ると、徹は涼の肩に腕を回した。
「な、なに…?」
戸惑う涼。
「…そこ、紹介してくれ。」
徹がそう言うと、涼は状況を察した。
「ああ…徹君、仕事探してるんだ。」
「涼、お願いしてもいい…?」
私からも頼むと、涼は笑顔で頷いた。
「もちろんだよ!任せて!あ、でも徹君、接客できるの?愛想と笑顔は必須だよ?」
「仕事ならいくらでも振りまく。」
徹は胡散臭い笑みを浮かべた。
本当に大丈夫かな…。