第13章 大学祭2日目
「ちょっと、何で手握るの?」
「他の奴らもそうしてたじゃん。」
「そうだけど…。」
「いいから、行くぞ。」
徹はそのまま歩き出した。
「すみません、お店番お願いします!」
田中先輩と桐生先輩にそう告げると、二人は笑いながら手を振った。
「ここの大学の人ですかー?」
「一緒に写真撮って下さーい!」
徹と歩いていると、早速女の子が声をかけて来た。
勿論、私の存在は完全に無視だ。
溜め息をつく私の肩を徹が抱き寄せた。
「見てわかんねー?デート中なんだけど。」
徹を睨み付ける。
またコイツはこういうことを…。
女の子達は逃げるように去って行った。
「あのさぁ…。」
「これが一番手っ取り早い。」
もはや徹に何を言っても無駄だ。
仕方なく、徹と手を繋いでキャンパス内を回った。
しかし、とにかく人が多い。
ここは某有名テーマパークかと言いたくなるくらいだ。
人混みが苦手な私は、つい徹の手を強く握ってしまった。
「…シュリ、大丈夫か?」
「うん…ちょっと人混みが苦手なだけ。」
「あそこ入るか。」
徹が指差したのは、華道部が開いているカフェだった。