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ラ・カンパネラ【PSYCHO-PASS】

第35章 過去編:名前のない怪物


「日向先輩!大丈夫だったんですか?!」

泉の姿を見た瞳子は安心したように立ち上がる。

「えぇ。心配掛けてごめんなさいね。瞳子ちゃんも大丈夫だった?この前のお兄さんに何か言われたりしてない?」
「大丈夫です。――銃向けられたけど、光留さんが止めてくれたから。」
「銃?」

瞳子の言葉に眉根を寄せれば、後ろから佐々山が補足を入れる。

「彼女が怪しいって狡噛がドミネーター向けようとしたんだよ。未成年だし色相はコロコロ変わるだろ?悪影響出ると思って俺が止めた。」
「そう。有難う。」

後で良く言って置かないと、と泉は思った。

「瞳子ちゃん。ここからは刑事として質問するわね。なんで今日、扇島にいたの?」
「えっと――、それは。」

口篭る瞳子を安心させるように、泉は横に座ってそっと頭を撫でる。

「大丈夫。ここで話した事は私と佐々山くんしか聞いてないわ。他の人とか、勿論先生にも漏らしたりしないから安心して。」
「本当?」

不安そうに瞳子が佐々山を見れば、佐々山はニカッと笑った。

「当たり前だろ?俺も日向チャンも嘘吐かねぇって。それに大丈夫だ。日向チャンは信用出来るぜ?」
「光留さんがそう言うなら――。」

その言葉に、泉はおやおやと思う。随分と短時間で手懐けたものだ。

「――ある人を追いかけてたんです。実はこの間も。」
「ある人?」

泉が先を促せば、瞳子はコクリと頷いた。

「桜霜学園の先生なんですけど――。なんて言うかその人変わってて。正体を突き止めたいって言うか――。とにかく彼の事が知りたかったんです。」

瞳子は手に持っていたカメラをぎゅっと握ってそう言った。

「――その先生の名前、もしかして藤間幸三郎じゃない?」

泉から出た名前に、瞳子は目を丸くする。

「そうですけど――。え、なんで?」
「覚えてない?私が桜霜学園に行った時。」
「あ!藤間先生と話してましたよね。」
「えぇ。少し世間話をね。」

そう言った泉の視線が鋭くなったのを、佐々山は見逃さなかった。
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