第34章 番外編:恋病メランコリー【ep-03】
「――クク。」
「なぁに?急に笑って。」
朝御飯を作っていた泉は、急に思い出し笑いをした慎也を不思議そうに見る。
「いや。あの日を思い出してな。」
「あの日?」
「お前が俺に告白した日。」
「違うでしょ。慎也が私に告白したんでしょ?」
あれから6年の月日が流れた今、泉はすっかり余裕タップリな女になってしまった。
慎也は面白く無さそうに呟く。
「お前、ちょっとは昔みたいに照れろよ。」
「お生憎様。誰かさんのせいで免疫つきました~。」
そう言いながら、料理をする泉に後ろから抱き付けば泉は怒ったように後ろを向く。
「んもう!慎也!危ないって!」
「――泉。愛してる。」
耳元で囁くように言えば、珍しく彼女の顔が赤く染まる。
「――反則よ、それ。」
笑った顔が幼く見えて、慎也は満足そうに笑ったのだった。
「空を覆う大地を覆う、花に埋もれて 眠れ。」