第34章 番外編:恋病メランコリー【ep-03】
「――誰だ?」
「公安局だ。テメェが泉のストーカーしてたやつだな?」
「ひっ?!」
「おっとぉ。逃げようなんて思うなよ?」
後ずさった犯人の後ろを塞ぐように佐々山が出る。
それを一瞥して、慎也は冷たい目で犯人を見下ろす。
「答えろ。なんで泉を狙った?」
「――あの女が俺のツレを殺したんだ。」
「ツレ?なんの話だ?」
「俺のツレはヤクの売人だった。それを公安局の一斉摘発であの女が――!」
その言葉に、慎也はドミネーターを構える。
化け物だって星屑を抱く
『携帯型心理診断鎮圧執行システム、ドミネーター起動しました。ユーザー認証、狡噛慎也監視官。公安局刑事課所属使用許諾確認、適正ユーザーです。』
「つまりテメェは自分の逆恨みで泉を狙ったってわけか?」
憤りの無い怒りに、慎也の目が鋭くなる。
「――怖ェな。」
そんな様子の慎也に、佐々山は苦笑する。
「うぁぁぁぁ!」
逃げ出した犯人に、ドミネーターが冷たく告げる。
『対象の脅威判定が更新されました。執行モード・リーサルエリミネーター。慎重に照準を定め対象を排除して下さい。』
血しぶきが上がるのを、慎也は冷たい目で見ていた。