第6章 姉妹
「ありがとうございました」
「お大事にどうぞ〜」
案内してもらった救急病院を私と包帯ぐるぐる巻きのカラ松は後にする。
幸い、傷自体はそんなに深いものではないらしく入院は必要なかった。
かといってこのまま松野家に戻る気にもなれないだろうカラ松は俯いていた。
「……カラ松、今日は泊まろっか」
「え?…だが、」
「良いから!行くよ?」
それが何だか放っておけなくて、つい彼の手を引っ張って歩き出す。
弱々しく、涙の跡の残るカラ松のそばにいてやりたかった。
「…ふ、良いのかカラ松girl。まだ恋人でもない俺を家に上げて…………ひぃっ!」
訂正、意外と立ち直っていた。
「はい、どーぞ」
「……は?」
私は彼をある一室に通す。
綺麗に整頓された部屋の中央には、真っ白くて柔らかそうなベッドが彼を待ち構えていた。
「、ここってまさか…」
ガタガタと震えてこちらを振り返るカラ松の顔は青い。
普段歯の浮く台詞を並べ立てるくせに、いざお膳立てされると弱いようだ。
「ん?ホテルだけど?」
「なんで?!?!」
そう、私がカラ松を連れて来たのはカップルが来てあれやこれやするホテルだったのである。