第5章 吸血鬼と人間
「みなさ、、ん、、て、、てった、、いで、す」
勝ち目なんてなかったんです。
シノアはそう言った。
だけど、みんなは撤退する気もない。
「仲間を見捨てて撤退なんかできるかぁ!!!」
優は叫ぶ。
「人間は馬鹿だなぁ」
「馬鹿はお前らだ」
君月はにやりと笑う。
君月は、優と剣を交えていた吸血鬼の背後に回り切り裂いた。
「くそ、こいつを殺してやる」
シノアを抱えている吸血鬼は、シノアを殺そうとする。
「や、、、やめろおおぉぉぉ!!」
優は、吸血鬼に向かって走る。
「優!!!」
三葉は優に抱きついて優を押さえ込む。
「何するんだ!!!シノアが、、!」
「優!!よく見ろ!!」
吸血鬼には、1本の矢が刺さっていた。
「優さん、焦って与一さんの存在忘れてましたよねぇ」
シノアは何事もなかったような顔で言う。
「お〜い、みんなぁ〜〜」
与一がこっちに向かって走ってくる。
「もう、優くんがシノアさんを助けに行ってたら、優くんに矢が刺さっちゃうところだったよ?」
「な、なんだ、、みんな、、知ってたのかよ、」
「優さんは、忘れてただけですけどねぇ〜」
こんな呑気な会話が出来ていることが夢みたいで、まだ、誰も死んでない。もう、誰も死んでほしくない。