My important place【D.Gray-man】
第37章 6/6Birthday(番外編)
「チッ」
「わ…!?」
急に踵を返したユウは、壁にかけてあった団服を掴んだかと思うと、それをばさりと被せてきた。
「何…えっ!?」
状況を把握する前に団服で包まれたまま、軽々と抱き上げられる。
何して…!
「逃げるぞ」
「ええっ!?」
逃げるって何処から!
まさかその足かけてる窓から!?
此処結構な高さじゃなかったっけ確か…!
いやユウなら余裕で飛び降りるだろうけど、こんな格好で外出るとか!
誰かに見られたらどうすんの!
「ちょっと待って…!リナリーだって多分話せばわか」
「そうだな、鋼鉄張りの足蹴り喰らった後にな」
まじでか!
ドゴォッ!
「「!?」」
突如激しい打撃音がして、私を抱えたユウが立っていた隣の壁にぶち当たる何か。
ガシャンッと軋んだ音を立てて落ちたそれは、ひしゃげたドア──…ドア!?
「そうね。雪をそんな恰好にさせた言い訳があるなら、聞いてあげる」
恐る恐るユウと振り返る。
見えたのは、鮮やかな真紅のブーツ状のイノセンスを発動させてその場に立っている美少女。
…え、イノセンスで蹴ったの。
蹴り壊したのドア。
「だから雪を放しなさい。今なら3発で許してあげるから」
にっこりと。それはもう誰もが見惚れる笑みを、にっこりと浮かべるリナリー。
サァッとユウの顔が青くなるのを、今度は間近ではっきり見ることができた。
1発でこれなのに…3発って死にます、リナリーさん。
「ぉ…落ち着けリナ。俺はこいつに酷いことなんてしてな」
「言い訳は後で聞くから、さっさと放しなさい5発にするわよ」
「……」
ユウが幼馴染であるリナリーに手を挙げない理由が、今日わかった気がした。
Happy Birthday!