My important place【D.Gray-man】
第37章 6/6Birthday(番外編)
「よし、じゃあいってらっしゃい。後で神田の反応、聞かせてね」
「うん、ありがとう」
笑顔で見送ってくれるリナリーに別れを告げて、部屋を出る。
一直線に向かう先は、ユウの自室。
この時間帯なら、ひと通りトレーニングも終わらせてるだろうし。きっと自室にいる可能性は高い。
にしても、こんなふうに着飾ってこいってことは……もしかして…何処か、お出掛けしたりするのかな…?
「…もしかして、」
それって……デート、とかいうやつですか…。
「……」
…どうしよう。
なんかドキドキしてきた。
…でも…嬉しい、かも。
ユウの誕生日なのに、まるで私がプレゼントを貰っているような感覚。
…昨日のあれもそう。
奇遇だな、と言って賛同したユウは、優しい顔で笑っていた。
ユウの譲れないものがなんなのかは、未だにわからない。
一つだけあればいい、と前に口にしていたユウだから、きっと譲れない何かを一つは抱えてる。
でもその中に…私も入ってるんだって、昨日確かに教えてくれたから。
沢山のものを抱えないユウが、確かに私を抱えてくれてるって知れたから。
それだけで充分だった。
「…ふふ、」
思わず口元に手を当てて、くすりと笑みが浮かぶ。
ふわふわと浮き立つ思いを、自分の中に感じた。
私がプレゼントをあげなきゃいけないのに、色々貰ってしまったな。
もしも今日お出掛けするなら、何か良いものが街で見つかったらユウにプレゼントしよう。
そしたら少しは昨日のリベンジもできそうだし。
…うん、そうしよう。
そう考え出すと止まらなくなって、ユウの自室に着くまで始終ふわふわと気持ちは浮き立っていた。
そう、ユウの自室に着くまでは。
「………ぁ、あの…」
「なんだ」
「…顔、怖いんです、けど…」
軽い足取りで踏み込んだユウの自室。
そこで待っていたのは……すんごい怖い顔した暴君様でした。
え、なんで。