My important place【D.Gray-man】
第33章 Twin of a bond
「大丈夫? デビット」
「あー、くそッいいからコイツ押さえてろよ」
「ッ痛い、んですけど…っ」
ごつ、と再び乱暴に額を重ね合わせられる。
顔は両手で鷲掴みにされているから、背けることもできない。
相手が子供だからか、ただの戯れとでも思われているのか。通行人は誰もいないはずないのに、声をかけてくる人はいない。
…わかるけどね。
なんか面倒臭そうだもんね、見た目からして色々と。
蓋を開けてみれば案の定、中身は電波系少年でしたけどね。
でも一人くらい助けようとしてくれたっていいんじゃないかな…!
遊んでないからこれ!
「なに考え事なんかしてんだよ。こっち見ろ」
そんな思考を引き戻したのは、目の前のこのファンキー少ね…ファンキー野郎でいいやもう。
「あんたが本当にラースラなら、中身をこじ開けりゃわかる」
…こじ開ける?
「何言って──」
意味のわからない言葉に疑問を投げかけようとして。
「…っ…?」
失敗した。
──ズ…
見えたのは、変わりゆく肌の色だった。
まるで塗り潰していくかのように、人並みだった肌色のデビットの肌が変わっていく。
褐色の、暗い色へと。
──え…?
「さっきまでの威勢は何処いった?」
思わず息を呑む私に、ニィッと八重歯を見せて笑う。
その口元も、包帯を巻いた首筋も、ファンキーな服装から垣間見える肌全部。
褐色へと、まるで手品のように変わっていった。
「よーく見てろよ。あんたがラースラなら、"これ"はあんた自身の姿だ」
私、自身?
ドクリと心臓が嫌な音を立てる。
「…っ」
逸らしたくても逸らせない。
完全に私の目はデビットのその姿に釘付けになっていた。
茶色がかっていた二つの目が、透き通るような金色へと変わっていく。
金色の目。
褐色の肌。
じわりと、肌に冷や汗が浮かぶ。
──…まさか。