My important place【D.Gray-man】
第25章 ノア メモリー
「えーっと…」
「雪さん、何やってるんスか?」
「灯り作り」
屈んで辺りを手探りに探れな、棒状の鉄パイプのようなもの見つけられた。
その先端に荷物から止血用の布を取り出して巻き付ける。
同じく取り出した小瓶のアルコールを染み込ませば、出来上がり。
雑だけど、まぁ使えるかな。
「ラビ。火、お願い」
「ライター感覚でオレのイノセンス扱うのやめてくれませんか」
「それだけ便利ってことだよ。ほら、火」
「…褒められてる気がしない…」
渋々とラビは腰のホルダーから鉄槌を取り出すと、大きさはそのままにコツリと松明代わりのそれに当てて振った。
「"直火判(じかひばん)"」
ボッとあっという間に先端に炎が灯る。
うん、大変便利なイノセンスだと思います。
「そんなイノセンスの使い方もあるんスね」
「や、チャオジー勘違いすんなさ。ライター代わりなんて普通しねーから」
感心するように呟くチャオジーに、ラビは首を横に振ってはっきり否定する。
確かにイノセンスは"神の結晶"なんて呼ばれてる代物だしね…ごめんなさい神様。これは致し方ないんです。
「とにかくこれで引き続き探索はできるでしょ」
「うげ、まだ調査続けるんさ? もう夜だぜ」
「だってアレ」
「これで見通しよくなりましたねっ次の部屋行きましょう!」
指差した先には、満面の笑みで隣の部屋に向かうチャオジーがいる。
「…マジであいつすげーな…」
「見習おうか、ラビ」
「えぇえ…」
ぽんと高い位置にある肩に手を置けば、心底嫌そうな顔を向けられた。
その気持ちはわかる。わかるけど約一名やる気だし。
初の任務なんだし、その気持ちを汲んであげよう。