My important place【D.Gray-man】
第49章 つむぎ星に願いを
「でよ、その後に驚きの展開があって」
「なんだよ。勿体振らねぇで話せよ」
「どうせつまんねぇオチだろ?」
もそもそと口の中に詰めたパンを咀嚼する。
本来は美味しいと感じるはずの、ふんわりとした甘めの生地も、香ばしい匂いも、なんだか味気なくて。
目の前の机の角をぼんやりと見ながら、無心に喉を嚥下した。
「なんと瓜二つの双子だったんだよ!」
「まじか!?」
「ってことはまさか…!」
こくんと最後の欠片を飲み込み、目の前のコップに手を伸ばす。
「おい早く先を話せよ!」
「なァ雪!」
「んぶっ!」
でもコップを口に傾けた途端、大きな手が遠慮なく背中を打倒してきたもんだから。
勢い余ってコップの中身を吹き出してしまった。
「うわ! 大丈夫かっ?」
「あーあー、何してんだよバズ」
「オレが悪いのかよ? ちょっと押しただけだろっ」
「お前のちょっとはちょっとじゃねぇんだよ!」
咎めてはいるけれど、明るい雰囲気。
ゲラゲラと笑うファインダー仲間に手伝ってもらって、あっという間に濡れた机もコップも綺麗に片付けられた。
「ほらよ、新しい茶。大丈夫か? 雪」
「うん、ありがとう」
「にしても雪もボーッとし過ぎだろ。具合でも悪いのか?」
「そうじゃないけど…」
「なら折角だし話に入れよ」
「そーだよ。ホラ、此処座れって」
心此処に在らずな自覚はあった。
駄目だな、ファインダーの皆とお昼ご飯中だったのに。
申し訳無さもあって、促されるままに長机の真ん中の椅子に座る。
気分は決して上がってる訳じゃないけど、皆の楽しげな雰囲気には多少気持ちも浮上しそうだった。
仲間って、こういう時は助かるなぁ。
「ごめんね。なんの話?」
「それが聞けよ」
「マイクがとうとう見つけたんだと!」
「何を?」
「「「絶対ヌけるAV!」」」
……ちょっと待って。
此処、食堂。
公共の場で口揃えてAVとか叫ばない。
そんなだからファインダーはガサツで下品だって他班に…ほら! 管理班の女子の顔見て! 怖いから!
虫けらみたいな目で見られてるよ!
あっクロエもい…怖!
R18の薄い本書いてるのに、こっちのR18は受け付けないらしい顔が怖い。
とにかく怖い。