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My important place【D.Gray-man】

第45章 10/31Halloween(番外編)



「っは…ッ…はぁ…っ」



汗を纏う筋肉質な体に縋り付いたまま。
雪の涙でぼやけた視界は、部屋の天井を映し出していた。
高みへと昇り切った絶頂の余韻は熱く穏やかに、雪の体と心を満たしていく。



(…きもちいい…)



快楽と安息の狭間。
やがてくる心地良い体の疲労を受け入れながら、目を瞑ろうとした。



───パタ、



それを止めたのは、頬にかかる雫。
覆い被さる神田の体から流れ落ちた汗かと思ったが、鋭い嗅覚がそれを否定した。

充満した汗と発情と獣の匂い。
そこに自然に混じっていたのは、強い血の匂いだった。



(え?)



その血が誰のものか。
それすらわかる程正確に、雪の獣の鼻は嗅ぎ分けた。
嗅いだことも味わったこともある。
その血の匂いは、目の前の神田のものだ。

先程キスを交えた際に牙で傷付けてしまった所為かとも思えたが、そんな少量のものではない濃い血の匂い。
咄嗟に頬に触れた雫の正体を探ろうと手を伸ばして、金瞳はぎょっと見開いた。



「ユ、ユウ!」

「…ぁ…?」

「血、血が…ッわー!血がッ!」

「んだよ…るせ。耳元で叫ぶな、」



頬の雫を拭おうとした雪の手。
その手そのものが、真っ赤に染まっていたのだ。
強く濃い神田の血の匂いは、そこから発していた。



「私が強く掴んじゃったから…ッごめん…!」



先程のキスで傷付けた時と同じ。
人間時の時と変わらない動作でつい目の前の体にしがみ付いていたが、今の雪の爪は狼のように鋭く尖っている。
その爪がしがみ付いた神田の背中の皮膚を裂いたのだろう。
のそりと体を起こす神田とは裏腹に、慌てて跳ね起きた雪は神田の背を覗き更にぎょっとした。

背中を引っ掻いた傷跡は、幾つも赤い線を作り上げていた。
しっかりと血が浮いてる傷跡は、一目見ても痛々しい。



「ごめんユウ!ぃ、痛くないっ?痛いよね…!ごめんわざとじゃ…!」



おろおろと、先程とは別の意味で涙を称える雪の姿を前に、神田は密かに眉を寄せた。
血だらけの両手を胸元で握って、ぷるぷると耳と尾をヘタらせる雪の露出した姿。

それは今の神田には、悪影響しか及ぼさない。

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