• テキストサイズ

My important place【D.Gray-man】

第45章 10/31Halloween(番外編)



「暖取りに貸してくれてたんだよね?ありがとう」

「………」

「ユウ?…あ、団服掛けておこうか?」



団服を差し出した格好のまま、何故か受け取らない神田に首を傾げる。
しかし深く問うことはなく、それならばといつも団服を掛けてある壁へと雪は向かった。
ハンガーを手に取り団服を掛けていると、不意に感じた背後の気配。
神田のものだろう、何かと振り返る。

一瞬だった。



「? ユ───」



ドゴンッ!



打撃音。
ミシ、と何かが砕けめり込むような音。
パラパラと塵のようなものが落ちゆく気配。



「……ウ…?」



一瞬訳がわからず固まった雪の視界に映り込んだもの。
それは背後から伸びる、黒いブーツを履いた足だった。
言わずもがな、この部屋の主の足だ。



「え?」



凝視するその足は、何故か雪の隣の壁にめり込んでいる。
何故か、ではない。
この足の主が、力任せに壁を蹴り付けたからだ。



(何。何が起こったの。え?)



脳内パニックに陥りながら、ギギギ…と軋む関節を曲げて、首を回し振り返る。



「ひっ!?」



悲鳴が上がる。
見えたのは背後に立つ鬼。
雪の後ろで殺気立ちながら、上げた片足を床にめり込ませている。
無言の神田だった。



(え、何これ何が起こったの!?壁ドンならぬ足ドン!?)



そんな名称聞いたこともないが、あったとしても願い下げだ。
胸キュンワードなどではない、最早カツアゲや脅しで扱われる類いのものではなかろうか。

そして何故このタイミングでカツアゲに会わなければいけないのか。
口をぱくぱく、まるで空気を吸う金魚の如く開閉させながら、雪は顔面を蒼白く変えた。

一体何事か。

/ 2655ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp