My important place【D.Gray-man】
第45章 10/31Halloween(番外編)
「何かと行事に託けて仕事をサボるのはお止め下さいませ!何がハロウィンですかッ」
「えーそんなこと言わないでよー。大人だってハロウィンを楽しみたいんだよー子供限定じゃないでしょー?」
「貴方はまずその頭の中を子供時代から切り替えて下さいませ!」
「酷いなぁ、そこまで言わなくたって……ん?」
ツカツカと足早に歩くフェイに背中を押されながら、渋々と歩く長身の白いローズクロス姿。
同じく真っ白な帽子を被った眼鏡の顔が、食堂を通り抜ける途中で注目の視線に気付いた。
一斉に自分に向けられている視線。
それをきょとんと受けつつ、沈黙するは黒の教団科学班室長である、コムイ・リー。
「………」
無言で食堂内を見渡すこと、約30秒。
コムイの口元が弧を描く。
「皆素敵な恰好だね~ハッピーハロウィン☆」
にっこり笑って手を振る。
そんな諸悪の根源に、ぶちんっと一斉に何かが切れる音がした。
「何がハッピーハロウィンだぁあああ!!!」
「テメェェエこの阿呆室長ー!!!」
「引っ捕まえろッ!!」
「逃がすな!!!」
「ぶっ殺!!!!」
一斉に食堂の出入口へと群がる団員達。
わっと駆け出す人の群は、格段に視線の下がった雪には襲い来る波のようにも見えた。
ぞっと悪寒が走る。
このままではぺちゃんこに潰され兼ねない。
「ひ…っ!」
同じ恐怖を感じたのか、背中に跨っていたティモシーがぎゅっと首に抱き付いてくる。
微かな悲鳴も、人間時より大きくなった三角耳は確かに拾い上げた。
咄嗟に素早く腰を上げると力強く床を蹴り上げる。
ダンッ!と地を蹴る音と共に飛躍するは、少年を背負った猛々しい獣だった。