My important place【D.Gray-man】
第44章 水魚の詩(うた)
「待って、ユウ…っ」
「待てない」
激しい交わりの所為で、力が入らないんだろう。
弱々しい力で両手を突き出して、俺の体を退かせようとする。
雪の体力が尽きかけてるのはわかってる。
いつもなら気遣って止めもするが、今日はどうにもそれをしてやれそうにない。
足りないんだよ、まだ。
そんなに淫靡で無防備な顔を見てしまったら、まだ見ていたいと思ってしまう。
心も体も俺しか認識しなくなるくらい、溺れさせたい。
まだだ、もっと。
俺の手で快楽浸けにしてやりたい。
雪の最も気持ちよさを感じていた所を、腹部の上から掌で軽く押すようにして撫でる。
するとぴくんと肌を震わせて僅かに雪の顎が上がった。
ほら、まだここは気持ちよくなりたいって言ってんじゃねぇのか。
俺だってまだ気持ちよくなりたい。
……というか次は雪の中に挿れたら耐えきれるか、わかんねぇくらいギリギリだけどな。
「ほ、本当に待って…!私するからッ」
腹部の手を下らせ、ぐっしょりと濡れた秘部へと伸ばすと慌てた雪が声を張り上げた。
「私に奉仕させて。私ばっかり気持ちよくさせて貰ってるし…私もユウにしてあげたいから…っ」
「別に奉仕なんて───…」
必要ない。
そうきっぱり断るはずだった言葉は、俺の口をついて出てこなかった。
…次、雪の柔らかい蜜部に包まれたら我慢できる保障がない。
それは確かだ。
………。
………………仕方ねぇ。
「………わかった」
ここは雪の体を優先して、安全策を取った方がいい。
「じゃあ、あの…退いて、くれる?」
覚束なかった雪の声が、段々とはっきりしてくる。
汗に塗れて吸い付く肌にまだ触れていたかったが、仕方ない。
言われるがままに素直に身を退いてやった。