第44章 水魚の詩(うた)

もっと見たい。
雪が乱れる姿。
もっと感じたい。
雪の蜜部の奥。



「ひぁ…ッ！ぁ、あ…ッ！」



高鳴る嬌声。
抉るというより、押し付けるように。
蜜壷の深層へと打ち付けた俺自身で刺激を与えた。
柔く解れた子宮の入口。

そこが女にとってどういう役割のものかわかってる。
けどそんなこと考えてる余裕もない。



「ぁあ…ッあ…！あ──…！」



全神経が目の前の雪に惹き付けられる。
目で耳で肌で感じて、俺の脳裏に刻み付ける。

あられもなく投げ出された両手はシーツを鷲掴み、開いた口からは高い嬌声しか上がらない。
紛れもなく快楽漬けになっている姿。
淫靡で刺激的な様。



「雪…ッ」

「ふぁ…ッあ、ぁ…！」



夢中になって腰を振っていた。
何度も絶頂へ追いやられているのか、中の締め付けが途方もない。
だけどここでイったら、雪の子宮に全部ぶちまけてしまう。
それはできない。
いくら性欲に溺れても、こいつに女としての負担は掛けられない。
だからといって抜いて果てたくもない。

まだ感じていたい。
雪の中にいたい。



「ひぁ…ああ…ッ！」

「ッ……は…ッ！」



何度目かわからない快楽の高み。
無理矢理そこに引き上げられた雪の体が、大きく仰け反る。

刺激し続けていた子宮の入口に俺自身を押し当てて、腰を震わせる。
イきたい。
気持ちいい。
出したい。
このまま雪の中に欲望を全部ぶちまけて、本当の意味で俺色に染めてしまいたい。



「ッ…！」



そんな本能的な欲をどうにか抑え込んで、とにかく耐えた。
精神的な欲からも、身体的な快楽からも。



「っは…あ…ぁ…」



なんとか深く呼吸を繰り返して、落ち着かせる。
合間に届いた雪の途切れ途切れの声は、叫び過ぎたのか掠れていた。
抱き上げていた膝をゆっくりと下ろして、ぎゅうぎゅうに締め付けてくる蜜壺からどうにか自身を抜き出す。

声は上げなかったが、びくりと大きな反応を見せる雪の体。
力は入らないのか、横たわったまま動こうとしない。
まだ余韻が残っているのか、ぴくりぴくりと微かに肌が震えていた。