My important place【D.Gray-man】
第41章 枷
迷いなく笑って答えれば、不二子ちゃんの目はぱちりと瞬いた。
「……野暮なこと聞いちゃったわね」
私の顔を見てクスリと笑う。
綺麗な微笑みを浮かべて。
ブロロロ…
そこに舞い込んできたのは、車のエンジン音。
面会室から背伸びして見れば、小型の可愛らしい丸みを帯びたデザインの車がキキッと素早くルパン達の傍に停車した。
「オイ、いつまで待たせんだ。のんびりしてると、銭形のとっつぁんが戻ってくるぞ」
狭い窓ガラスを開けて身を乗り出したのは、ルパン一味の一人。次元大介。
深く帽子を被ってほとんど見えない目と、ぱちりと目が合った気がした。
すると軽く片手を挙げて「よぅ」と返される。
どうやらルパンが私に数珠を返しにこの警察署に来たのは、仲間内で納得して行われた行為らしい。
「そうだな。じゃあそろそろずらかるか」
視線だけ次元に寄越したルパンが、再び私に向き直ると地面に肩膝を付いた。
面会室にいる私と外にいるルパンとの間の距離が、僅かに縮まる。
「…一つ聞かせて」
「なんだい?」
「……なんで怪盗Gを出し抜く計画を立てた時に、私達と同盟を組もうと思ったの?」
そこだけはどんなに考えても結論が出なかった。
私達がいなくたって、ルパン一味だけで怪盗Gを出し抜いて国宝は盗み出せたはず。
私達と手を組むメリットはどこにもない。
真っ直ぐに面会室から見上げて問えば、ルパンは考える素振りも見せずに口を開いた。
「なぁに。最初は同盟組む計画なんて立てちゃいなかったさ。だから次元も計画にないって文句垂れてたしなァ」
…え。
ってことは…あのホテルで私達と組むことに反対していた次元は、演技じゃなく本音の姿だったってこと?
「じゃあ…なんで…」
仲間の反対を押し切ってまで、私達と組もうとしたのか。