第1章 第一章
人間より数倍は強く、天下五剣の一振でもある三日月を中華鍋一発でのしてしまうとは…さすが主だ、他の者には絶対出来ない事だ。
そう、主のバカ力に感心していると、当の本人が銀色の鍋と人数分の皿を持って部屋へと入ってきた。
「おい、できたけん早こと食べてしま…三日月!!てめぇ寝るんだったら部屋に戻っちょれ!!」
「…主よ…誰のせいで…こんなことになっていると…」
「そら、お前が悪口言っちょうけんだろ。ほら、さっさか食べぇで」
聞き慣れない方言で三日月を叱りながら、主が鍋の蓋を開ける。すると一気に旨そうな香りが部屋中に広がり、痛みに悶えていた三日月も瞬時に立ち上がる程であった。
「ほら。審神者様特製雑炊だ。冷めらん内に食べてしまうぞ」
机の上に鍋置かれたと同時に、蛍丸が爪先立ちをして中を覗き込んだ。
「うわあ、、こんなに美味しそうな香り蛍初めて。ん、ねぇねぇ主さん。この黒いの、って何?」
蛍丸が鍋の中を指差して聞く。
「ああ? そりゃあ海苔だ。でも普通のじゃねぇ。天然の岩海苔だよ。」
「いわのり?」
「おい蛍!そんな事どうでもいいからさっさと食っちまおうぜ」
「おい、鶴!。いただきますしてからだろうが!!」
抜け駆けをしようとした鶴丸に主のチヨップが入った。