第1章 第一章
蛍丸が起きた直後一期が起き、それに次いで鶴丸、三日月が跳ね起き、我先にと蛍丸と触れあおうとして主の雷が二人へと落ちた。
そして叱られ終わった二人は「腹が減った」 「腹が減っては安眠など出来ぬ」とぬかし始め、結局主が夜食を作ることになった。
ちなみに主は「すぱい」という仕事柄か手先が器用で、料理も燭台切と肩を並べるほどである。
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「主さんって料理、出来たんですね。」
まだ薄暗い寒空の中で夜食の完成を待っている間、案の定蛍丸が口を開いた。
「あぁ、主はああ見えてとても料理が上手いんだ。蛍もきっと驚くぜ。」
「おい、鶴丸。てめぇ俺のことをどう見てたんだよ!!」
小声で鶴丸が応えたはずだが、襖を何枚も隔てた厨房から主の怒声が飛ぶ。
が、それも気にせず。今度は三日月が
「それにな蛍。あやつが作るメシはとにかく味付けが繊細で…作ってる奴は繊細じゃないけどな」
「てめぇ、三日月!!まだ懲りてなかったのかよぉ!!」
主が怒鳴ったかと思うと、急に襖が破け、そこから猛スピードで中華鍋が飛んできた。それが三日月の後頭部に深くめり込んだ。