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その胸に抱くのは~BLEACH~

第7章 特別指南 1


卯ノ花隊長から珍しく申し入れがあった。
内容を聞いて二つ返事で了承した。


数年前のあの日、彼女の斬魄刀の力に触れた。
聖母のような慈愛に満ちた霊力に包まれた。
初めての安らぎ……
それに反して彼女の瞳に宿る修羅の光。
ぞくぞくと背筋を走る悪寒……
意識を失い腕の中に崩れ落ちた華奢な身体とあどけない幼子のような寝顔。


信じたく無かったが、すっかり彼女に参ってしまっていた。
生い立ちや学校の成績を調べあげ、彼女を五番隊に入隊させようとした。

企みは失敗に終わったが、今彼女がやって来る機会を得た。

卯ノ花隊長の依頼を聞いてあの時感じた安らぎと悪寒の理由が解った。
二つの力を持った斬魄刀……
霊力の封印については生い立ちを調べた時に解ったが、斬魄刀に影響を与えているのか……

一週間、彼女を手の内に置いておけるこの機会に必ず手に入れる。
彼女の全てを手に入れる。




彼女がやって来る当日いつもの講義を終えた。

「四番隊の瑞原さんがいらしたので、隊長のお部屋に案内しました。」

「ああ、ありがとう。」

僅かに早くなる歩調。
あぁ、どうかしている。
こんなにも気持ちがざわめく……
今までこれ程までに自分の気持ちを動かしたものがあっただろうか?
逸る気持ちを抑えて静かに自室の扉を引いた。


書棚の前の日溜まりに、彼女が立っていた。
瑞原優姫。
書物を読む伏せた瞳。
文字を辿る細い指。
数年前より伸びた髪。
僅かに開いた桜色の唇。

目が離せない。
心が持って行かれる。


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