第5章 四番隊のお仕事2
ただ、と言いながら卯ノ花隊長が近づいて私の髪を手で避けてうなじを露にさせた。
「こういうトラブルは今後無いように、お願いしますね……」
卯ノ花隊長の額に青筋が!!
ニッコリ笑いながら阿近さんを見る目に明らかな殺気!!
し、知らなかった……
卯ノ花隊長って怒るとこんなに怖いの……
冷や汗をびっしょりかきながら成り行きを見守る。
当の阿近さんはそんな殺気に少し青くなりながらも、平静を保っている。
「善処しますが、うちの隊長はレア物は放おっておきませんよ。俺も、気に入ったものはとことんのめり込む性質なんで、約束は出来ませんよ。では、失礼します。」
卯ノ花隊長に一歩も引かずニヤリと笑って阿近さんは帰って行った。
阿近さんを見送った後三人で隊舎に入る。
隣を歩く虎徹副隊長が小声で話しかける。
「それ、化粧か何かで隠したほうがいいかも……後で私の部屋においで。」
何の事かと首をかしげると、少し頬を赤らめた虎徹副隊長が耳に口を寄せて更に小さな声で呟く。
「キスマーク……」
えっ?
思いがけない単語に頭が真っ白になったが、思い出した。
阿近さんが唇をつけた時、チクリとした痛みがあった。
キスマークつけられてたなんて!!
じゃあ、さっきの卯ノ花隊長が言ってた事……
何をされてきたのか卯ノ花隊長にバレてる!!
猛烈な羞恥に真っ赤になった私を振り返って卯ノ花隊長は静かに言った。
「十二番隊には出入禁止です。」