第3章 覚醒
三人の生徒を順番に運び出し、卯ノ花に彼女の斬魄刀の力が問題ない事を報告すると、藍染はまた彼女の斬魄刀が作り出した光の中に進んでいった。
この中はひどく心地がいい。
温かく、水の中の様な浮遊感。
自分の全てを受け入れ、守るように包み込む。
そうだ、これはまるで母親の胎内だ。
胎児になって漂う、絶対的な幸福。
(溺れそうだ……)
このままゆらゆらと漂って、その身が朽ちるまで……
(ふっ……何を考えているんだ……)
そろそろもう一人の生徒の治療も終わるかと彼女を見る。
(美しい子だ。生徒の頃から斬魄刀を始解させるとは、まぁ、彼女の能力は治癒に特化しているようだが。)
藍染は優姫を暫し見惚れる。
ふっと優姫が顔を上げて藍染を見る。
(また、あの瞳だ。)
聖母のように慈愛に満ちている。
なのに見つめられると背筋にヒヤリと冷たいものが伝う。
あの瞳の奥に、確実に修羅の光が潜んでいる。
彼女の能力は本当に治癒に特化したものなのか?もし、その能力が戦闘に特化したものならば、どれ程の驚異となるだろう。
これから自分が成そうとする事の邪魔な芽ならば早めに摘み取ってしまわなければ。