第9章 罪人
「別に深い意味はない。あの者はうちの隊に出入りしているから、足りない備品にもよく気がつく。言付けたもの以外にも必要な物を補って持ってこれる。効率がいいから頼みたいだけだ。」
表情を変えず朽木は更木と市丸に視線を向けることもなく言ってのける。
「あぁ?そんなに頻繁に出入りしてるってことか?よその隊士を呼びつけて何させてんだ?」
更木が食い下がる。
朽木に掴みかかりそうな勢いの更木を手をあげて制したのは卯ノ花だった。
「そう言う十一番隊にもやちるさんがよく優姫を引っ張りこんで菓子やら食事やらを作らせてますね。」
「うぐっ……」
卯ノ花の一睨みで更木が黙る。
「それから、最近三番隊は怪我人やら病人がよく出るようですね。優姫が呼ばれてお邪魔しているようですが、どれも緊急を要さない怪我や気のせいの病ばかりだと報告があがってますが、長時間隊舎に拘束して何してるんですか?」
「いややな、卯ノ花さん、怖い顔せんとって……ちょっとお話しして日頃の疲れを癒してもらってるだけやって……」
市丸の目が泳ぐ。
「今日は優姫も手が空いていると思います。言付けを頂きましたら向かわせます。」
卯ノ花は朽木に静かに告げて、問題ないですね?と更木と市丸に目線を送る。
二人ともぐうの音も出ない様子で引き下がった。
藍染も静かに立ち上がり部屋を出ていった。
「四番隊の聖母。瑞原優姫ちゃんか……なんか、面白いことになってんじゃないの?」
京楽はニヤリと笑ってその名を胸に留めて自分の隊舎に戻った。