第3章 覚醒
血を流し呻いている生徒を目にした瞬間、優姫の目の前がチカチカとスパークする。
こんな大怪我を見るのは初めてだ。
血を見て気分が悪くなってしまったのだろうか?
体がぐらぐらする。
倒れそうだ。
こんな所で倒れたら周りに迷惑がかかる。
少し離れて休もうとした瞬間だった。
『逃げろ!!優姫!!早く逃げなさいっ!!』
お父さん!?
血だらけの父親が虚に捕まっている。
下卑た笑い声を響かせているその虚は父親の体を少しずつ切り裂いていく。
嬲るように少しずつ。
『ははははは!貴様を痛めつける度に娘の霊力があがるなぁ!娘!! もっとだ!もっとうまそうになったところで喰らってやるぞ!』
優姫自身も怪我をして動けない。
『お父さん!やめてっ!やめてぇー!!』
この記憶は……
忘れていたあの日……
辛くて、辛すぎて蓋をしたあの日の記憶。
どうして今?生徒達のひどい怪我と血を見たから?
痛い!! 頭が痛い……
耳鳴りがする。
グワン、グワンと鳴り響くように。
『さぁ、仕上げだ!お前の父親の手足をもいでやるぞ!絶望しろっ!泣き叫べ!! 』
記憶の中の虚が腕を振り上げ父親の腕を引きちぎる。