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 『さよなら』の先に  【Ib】

第5章  黄色い薔薇


「イヴ、大丈夫!?」
「メアリー……。私は大丈夫。メアリーとギャリーは?」
「平気だよ!」
「アタシも大丈夫……って、何よこれ!?」

 そこに見えたのは茨。床から突き出した茨が、私がさっきまでいた場所からいくつも生えて、道をふさいでいた。そして、それは私どうにかメアリー、ギャリーを道の真ん中で分けてしまっていた。

「これって茨のツル? ジャマでそっちに行けないんだけど……って、ちょっと、これ石で出来てるわ! ……どうしましょう?」
「ねぇ! 良い案があるんだけど……」
「何? メアリー?」
「さっきの部屋で見付けた鍵、イヴが持っていたでしょ? その鍵で、あのドア開けられるんじゃない? きっと、何か良い物があるよ!」

 メアリーが言ってるドアは少し前に開けられなかったドアの事だった。

「多分開けられるだろうけど、別れない方が良いと思うわ」

 ギャリーが心配そうな声で言う。

「すぐに戻って来れば大丈夫だよ! ねっ、イヴ?」
「……うん、そうだね。このままここに居ても、何も変わらないし……」

 そう言うとギャリーはようやく折れたらしい。はぁ、とため息をつきながら言った。

「わかったわ。でも良い? 何も無かったらすぐに戻って来るのよ!」
「うん、わかった!」
「はーい!!」

 私とメアリーは元気よく返事をして、ドアに向かって走り出した。
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