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 『さよなら』の先に  【Ib】

第5章  黄色い薔薇


 しばらくして鍵は見つかったので部屋から出ることになった。

「ふぅ……やっとあの部屋から出られたわ……」
「え~! もっと居てもよかったのにぃ……ねぇ、イヴ?」
「うん。可愛かったよね」
「冗談じゃないわ!! ずっと見られているみたいで落ち着かなかったし、もーうんざり!」

 は~ぁ、というギャリーの大きなため息にまぎれて、何か音がした気がした。

「ねぇ、何か音しなかった?」
「えっ? そんな音してないよ。ギャリーは?」
「アタシも、」

 ――ガサッ

 突然下の方から聞こえた音によって、ギャリーの言葉はかき消されてしまった。

「……ねぇ、イヴが聞いた音ってもしかして……?」
「うん、この音だよ!」
「……音、近づいて来てない?」

 メアリーの言う通り音はどんどん大きくなって、そしてバリバリッ!! と何かが床を突き破り、私達に向かって来た。
 私はとっさに走って、目をつぶり床にふせた。
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