第15章 創痍(そうい)
遊真「随分と恵土に頼ってるんだな」
唐沢「…4年半前の第一次侵攻においては
1200人以上の死者、400人以上の行方不明者をだすはずだったが
恵土が参戦することで、半数に押さえられた。
それらも無論、公表されているため
最後の砦として認識されているのさ。
だが…今回ばかりはあぁだから」
遊真「…死にかけたな」
唐沢「ああ」
その後、会見は報道陣からの質疑応答となり
ボーダー内部に犠牲者を出したことへの認識等の質問がとんでいる
「彼女を見殺しにするつもりだったんですか!?」
根付「有能な人材であり魅力ある人物であった彼女が重体となったことは
現在行方不明の32名の訓練生とあわせて
非常に大きな損失であり、まことに無念に思っています」
それに対して会場はどよめき
「親御さんにも同じことが言えますか!?」
「バカヤロウ!恵土の血縁者は死んでるよ」
などなどと荒れていった…
遊真「なんかボーダーが悪いみたいに言われてるな」
唐沢「辛いことは誰かのせいにしたくなるものさ」
遊真「ボーダーがいなかったら何百倍も死んでるだろ」
唐沢「お互いそれは分かってるよ。
だからボーダー側には余裕があるし、マスコミ側はイラついてる」
根付「彼らの存在を軽視する等ありえない。
彼らの犠牲があったからこそ、市民を守ること出来た。
戦線のすぐ近くで避難誘導に当たっていた彼らのおかげで
民間人の犠牲者をゼロに抑えることが出来
彼女の献身的な行動によって
ボーダー隊員も民間人も死者が出ずに済んだのです」
「その犠牲をなくすことは出来なかったんですか?
ボーダーには緊急脱出のトリガーがあると聞いています。
なぜそれを訓練生にも装備させないんですか?」
鬼怒太「トリガーの数が足らんからに決まっとろう!
全員に付けられるもんなら付けとるわい!
緊急脱出のトリガーひとつ作るにも 金と材料と人の手がいる!
湯水のごとく湧いて出るとでも思っとるのか!?
少しは考えて質問しろ!」
その後…
訓練生がトリガーを使っていたという目撃談があり
そこでネイバーに情報が漏れたのではという疑問が生じた