第13章 灰色のキミと【※】
しばらくすると首からタオルをかけた祥吾が部屋に入ってきた。
クローゼットを開きガサゴソと中を探ると服を取り出しそれを私に差し出す。
「ほらよ、お前の。」
祥吾に手渡されたのは家でも着ているセットアップの色違いだった。
それをありがとうと言ってもらい座ったままでいると
「着替えねーの?」
と言われる。
え?ここで?と思っていたら
「なに?梓恥ずかしいの?…俺テレビのほう向いてっからちゃっちゃと着替えちまえよ。」
とクスクスと笑いながら私の横に座った。
入れ替わりに私が立ち上がり祥吾の背後へと回るとババッと着替えを済ます。
脱いだ制服をまとめると祥吾の座っている横に座る。
「飯どーする?なんか食いいく?」
『おうちの人は?』
「母さん今日夜勤だからいねーし兄貴はうーん帰ってくんのかな?たまにしか帰ってこねーからわかんねー。」
あ、そうか。祥吾は母子家庭だ。ということを思い出した。
『いつもはどうしてるの?』
「コンビニで適当になんか買うかラーメン茹でたりしてる。」
『…図々しくなかったらなんか作るけど…』
その言葉に祥吾が目を輝かせる。
「オムライス!梓のオムライス食いてー!俺あれすっげー好き!」
まるで少年のようだった。というか実際に彼は少年なのだが普段の態度やその見た目からはあまり少年という風には感じられないのだ。
『私記憶ないからさ、その…前みたいのと同じのは作れないと思う。』
あぁそっか…という顔をした祥吾だが
「お前が作ってくれるなら多分なんでもうめぇよ。」
とすぐに笑顔に変えてくれた。