第13章 灰色のキミと【※】
キッチンに向か失礼します、と言い冷蔵庫を開くとほとんど空っぽの状態だった。
(卵とウィンナー、玉ねぎ…うん、オムライスだな。)
材料の少なさからそれぐらいのものしか作れないと判断したが祥吾もオムライスがいいといっていたしまぁいいかと思った。
炊飯器を覗くとご飯だけは朝炊いていたようで二人で食べるには充分の量があった。
すぐ作るから座って待っててと伝えたのにも関わらず祥吾はキッチンのカウンター越しに肘をついてこちらを見ている。
『そんなに見られてたらやりにくい。』
「気にすんな。」
キッパリそう言われた為諦めて作業にうつる。
ウィンナーと玉ねぎ入りのケチャップライスを作り同時に玉ねぎと人参などをいれた簡単なコンソメスープを作った。
フライパンのうえにバターをたっぷりとしき卵を流し入れる。菜箸でかき混ぜながら火を通しある程度のところで火をとめトントンと手を叩きクルッとさせオムレツを作る。
それを皿移したケチャップライスの上にのせる。
『完成でーす!』
おぉ!と祥吾が手をパチパチさせ
「これいつものやつじゃん!」
と言う。その言葉に私は驚いた。
薄焼きの卵でチキンライスをくるみ皿に盛り付けるものが普通で私が作るこのオムレツタイプのものは珍しいと思っていたからだ。
「これ真ん中きってトローッてするやつだろ?梓いつもこれしてたぜ?」
(無意識にワタシが動いた?…ううん、今までの私もこの作り方だった。まぁテレビとかでもよくやってるし偶然かな…。)
なんともいえない不思議な気持ちになった。
出来たお皿をテーブルに運びいただきますと手を合わせる。
ケチャップを手に取り上からかけようとすると貸してといわれ祥吾にお皿とケチャップをとられる。
なにやら一生懸命かいている様子だった。
「ほらよ!」
戻ってきたお皿をみると何かよくわからない絵が書かれている。なにこれ?と聞くと
『は?どっからどーみても猫だろ?』
とかえってきたがどっからどーみても猫には見えなかった。
その絵心のなさに声を出して笑うと祥吾は俺のセンスはお前のレベルじゃわからないんだな、と言って自分のオムライスをパクパクと食べていた。
私も祥吾のかいた猫のせいで少しケチャップの多いオムライスを食べる。ほぼケチャップの味だったがその味は優しく美味しく感じた。
