第15章 テスト週間
「ケーキ食べよーーー!梓ちん切ってー!」
「俺の大きいのな!」
あれだけ食べたというのに食い意地の張った二人がケーキにがっついてくる。
「あ…梓切るのはちょっと待ってくれないか?」
ケーキにナイフをいれようとろうそくを外していると征十郎にとめられた。
「…写真をとりたいんだが……。」
携帯を取り出し少し恥ずかし気に言う征十郎。
「私も、私もー!これってみんなの人形?すごいかわいー!」
と桃井もきゃっきゃっと言いケーキを写真におさめる。
その後ろで緑間もさり気なく携帯を構え写真を撮っていた。
「うん…撮れた。」
征十郎が満足気に微笑んだのを確認すると上に置かれた砂糖菓子の人形を一旦全て皿に移し切り分けたケーキの上にひとつずつそれを戻した。
皆に自分に似せられた人形の乗ったケーキを配る。
「梓、俺こっちがいいな。」
と征十郎が私の人形の乗ったケーキと自分のものを交換した。
そのケーキを食べていくと人形だけ食べるのがもったいなくて皿の上に残ってしまう。
征十郎の皿にも人形だけ残っていた。すると
「赤ちん食べないなら頂戴ー!」
「待っ……!」
と敦が私の人形に手を伸ばしそれをパクリと食べてしまった。
「………。」
からになった皿を見つめる征十郎。
『征十郎…これあげるから。』
自分の皿に残っていた征十郎の人形を征十郎に差し出す。
「いや…そうじゃなくて…」
「梓ちんも食べないのー?」
『「…あっ!」』
またしても敦に食べられてしまった。
「…紫原……こr『あああー!そうだ!プレゼント!皆プレゼントも用意したの!ね?』
敦本人は気づいていないようだが征十郎の禍々しい雰囲気がその場にいた人間に伝わり皆が空気をよむ。