第15章 テスト週間
兄が征十郎のパーティーが決まった後、以前兄と行った佐藤さんのお店のパティシエさんにバースデーケーキを頼んでくれていたのだ。
箱からホールのケーキを取り出すとチョコレートケーキの上に砂糖菓子でつくられた私たちに似せられた小さな人形が六体乗っていた。
皆それぞれ髪色が異なるためとてもカラフルで可愛いものだった。
そのケーキにろうそくをさしていく。流石に年齢分さすとろうそくの存在感はすごかった。
ろうそくの火をつけるが部屋の中は明るいためリビングにいる皆は気づいていない。だがこのタイミングでケーキを出すことは事前に打ち合わせしてあったためリビングに向け大きく丸をつくる。
征十郎はこちらに背を向けている為それには気づいていない。
そのサインに気がついた桃井が皆にもさりげなくそれを知らす。
征十郎が皆がそわそわしていることに気がつきこちらを振り返る。
兄が慌ててリビングの電気を消した。
『せーの』
「ハッピバースデートゥーユーハッピバースデートゥーユーハッピバースデー
赤司•赤ちん•赤司くん•征十郎•征十郎くん
ハッピバースデートゥーユー」
歌にあわせてケーキをリビングに運ぶ。
ろうそくの火がゆらゆらと揺れ征十郎の前にそのケーキを運んだ。
『征十郎、フーして?』
征十郎はすこし戸惑いながらその火を吹き消した。
部屋が真っ暗になると兄が電気をつける。
「赤ちんおめでと!」
「おめでとさん。」
「おめでとうなのだよ。」
「おめでとーー!」
『早すぎるかもだけど…征十郎おめでとう。』
「あ…ああ。驚いたな…。でも…ありがとう。すごく嬉しいよ。」
最初は状況が理解出来ていなかったようで戸惑っていた征十郎もみんなからのおめでとうの言葉を聞き笑ってそう言ってくれた。