白い小悪魔は誰のもの?~secondseason~
第24章 ★灰色の黄色の交戦★
『ごめんなさい、力抜けちゃって...本当は凄く怖かった...』
黄瀬『っ、助けれなくてごめん...俺、』
『ううん、涼太凄くカッコ良かった。助けようとしてくれてありがとう』
力なく笑う零蘭を強く抱き締めると、自然と手が背中に回り抱き締め返される。
温もりにやっと落ち着き始めると同時に火神達が駆け寄ってきた。
火神『零蘭!大丈夫か!?』
アレックス『無茶して飛び込んで来やがって...ヒヤヒヤしたぜ』
氷室『本当に心配した...あんな危ない事はもうダメだよ?』
『三人とも、ごめんなさい。でも貴方達が傷つくのは見たくなくて、咄嗟に....って、辰也っ!貴方怪我してるの!?』
後ろから姿を確認したため、ようやく氷室の負傷に気付いた零蘭は黄瀬から離れると、氷室の元へと駆け寄った。
『酷い...』
顔のアザと僅かに滲む血に顔を歪ませると、優しく頬に手が伸ばされ、そっと撫でられる。
氷室『大丈夫ただのかすり傷だよ、放っておいても』
『ダメっ!!すぐ手当てしないと...』
氷室『レイラ...』
『医務室で手当てしてもらおう?辰也』
アレックス『そうだな。レイラ、タツヤを頼んだぞ』
『はい。大我、先に戻って私は暫く戻れないと伝えて。涼太ごめんなさい、試合の最初は見てあげられない』
火神『分かった、辰也を頼む』
黄瀬『了解。安心して零蘭っち、戻ってくる頃には俺がショウゴくんを圧倒してるっすよ!』
『ありがとう二人とも。さ、辰也』
氷室『分かったよ。レイラに甘えるとしようか...ありがとうレイラ』
二人は足早に中へ戻り医務室へと向かっていった。
黄瀬『これで更に負けられないっすね。あの子にはカッコいい所だけ見せたいし』
火神『黄瀬!負けんじゃねーぞ』
黄瀬『当然』
『誰もいないけどまぁいいわ。そこに座って辰也』
氷室『あぁ...』
医務室へ着いた零蘭は、隣接されている長椅子に氷室を腰掛けさせ、鞄から救急用の道具を取り出した。