第28章 マーキング

乱れた前髪をかきあげる仕草に目を奪われて、思わず下半身に力が入る。

「ハッ、今……締まった」

「だ……って」

金の髪をシーツに散らし、快感にゆがむ綺麗な顔を見下ろしながら、結は上下するたくましい胸にゆっくりと手をついた。

「結、が……気持ちいいように動、いてみて、よ」

「ン、ん」

「ホラ」と挑発するように下から突いてくる意地悪な恋人の上で、結はぎこちなく身体を揺らした。

いつも彼まかせのセックスに、少しでもお返しが出来るように。

「こ……う？」

「ン、それ気持ちい……もっと、動いて」

歓喜の声をあげる黄瀬に応えようと、前後にスライドさせた動きが性感帯を刺激。

ビリビリとした痺れが全身に広がる。

「んん、っ」

「スゲェ、いい……そのまま」

胸元に伸びる手でやんわりと膨らみを揉みしだかれて、先端が硬さを増していくのが分かる。

恥ずかしくてたまらないのに、もっとと欲してしまうのは彼、だから。

「ココ、弄ると締めつけキツくなんの……知ってた？」

「や、駄……目っ」

「しっかり腰動かさなきゃ、いつまで経ってもこのまま……っスよ」

オレは大歓迎だけどね、と身体の奥でさらに存在を主張する熱にナカから溶かされる。

「あっ、嘘……ま、た」

「ん。サイコー、もっと……オレの上で踊ってみせてよ」

誘導するように細かく突き上げてくる腰に、結は猫のように背中を反らせた。




「りょ、うた……ん、あっ、私……も、う」

視界の中でみだらに舞い、次の絶頂を迎えようとか弱い声で啼く恋人の姿に、黄瀬はゴクリと喉を鳴らした。

「イキそ？いいよ、まだ……何度でもイカせてあげる、から」

鍛えた腹筋をしならせながら、華奢なカラダを突き上げる。

「や、ぁ……い、一緒が、いい」とガクガクと崩れ落ちる身体を胸に深く抱き込むと、黄瀬は唇を強く噛んだ。

「今日は、さ……もっとイジメようと思ってたのに……も、限界」

「ひゃ、ん」

そのままポジションを入れ替えると、力なく投げ出された手に自分の手を重ね、指を絡ませながらシーツに縫いつける。

そっと握り返してくれる細い指に、胸の奥がジリと疼く。

「オレと一緒がいいの？」

「う、ん……はやく、チョーダイ」

「今、あげるっスよ……全部、ね」