第28章 マーキング
バスタオルにくるんだ恋人の身体を抱えて、バスルームから出てきた黄瀬は一糸纏わぬ姿でベッドへと一直線。
ゴキゲンなイケメンに対して、結は濡れた胸板に頭を預けて、乱れた呼吸を繰り返していた。
ベッドカバーを剥がす時間も惜しむように、ダイブしたスプリングがキシリと鳴く。
「早く抱かせて」
「あ」
段取りの良さに皮肉を言う暇もなく、ゴムを手際よく着けて覆い被さってくる黄瀬に唇を塞がれて。
口内をまさぐる余裕のないキスに、結は応えるように舌を絡めた。
「んふ、っ」
「結……も、挿れる、よ」
首への熱い愛撫も、膝を割ってくる足も、ごく自然に受け入れると、あてがわれた硬い切っ先に勢いよく貫かれて呼吸が止まる。
「ん、っ」
「キ、ツ……んな締めんな、って」
「だっ、て……熱、い」
狂暴なまでに勃ちあがった昂りは、だが、バスルームで十分に慣らされた身体に吸いこまれていくばかり。
「くっ……でも結も、欲しかったんでしょ?飲みこんでく、よ」
「や、言わない、で……」
「カ~ワイ。たくさん意地悪するって今……ハッ、勝手に決めたから、悪いけど今日は付き合ってもらうっス、よ」
「何それ、あ、ひぁ……っ!」
ズンと響く衝撃に思わず逃げる腰を掴まれて、いきなり始まった律動にベッドはあっという間に乱れていく。
「や、ぁ、りょー、た……っ」
鋼のような肉体に手加減なく攻められて、身体がバラバラになってしまいそうだ。
「ね、オレの、コト……好き?」
耳許でささやく声はトロけるように甘いのに、その息は荒く、返事を待たずに侵入する舌に頭の芯がバチバチと弾ける。
「ひゃ……っ、ソレ、やだぁ」
「気持ちいい……の間違いっしょ?知ってるっスよ、結のイイとこは全部。ホラ、ここも」
フェイスラインを舌先でくすぐりながら、細かく振動する腰が快感のポイントを的確に突く。
「ア、あぁ……っ!」
「イイ声……ハ、っ、オレとのセックス、好き?」
ベロリと頬を舐める舌はいつもより執拗で、所有のシルシを刻むように肌に吸いつく唇はいつもより熱い。
「や、待っ……て」
「待てる、ワケないって」
肩を押し返そうとする手を頭の上で拘束すると、黄瀬は反撃のスキを与えることなく、組み敷いたカラダを揺さぶり続けた。