第25章 ヒート
「りょ……う、た……あ、あぁ、待っ、て」
「ん?やっぱ、キツい?じゃあ……もちょっとゆっくり」
終わることのない揺さぶりの合間にこぼれる声が、シーツにしみ込んでいく。
だが、黄瀬にはまだ結を離すつもりなどなかった。
ギシギシと音を立てることをやめ、奥深く挿入したまま背中から覆い被さると、情事のアトを残すように肌をキツく吸い上げる。
「そうじゃ、ン……なくて、顔……涼太の顔が、見たいの」
「へ」
予想外のおねだりに、黄瀬は思わず腰の動きを止めた。
「あっ……駄、目。やめないで、りょー、た……んンっ!」
それは甘くて狂おしい誘惑の罠。
ずるりと抜いた屹立が、物足りなさでビクビクとそそり立つ。
「あぁ……もう、たまんねぇ」
反転させた恋人の身体の上にのしかかると、黄瀬は衰えを知らぬ欲を、溢れる蜜の中心に一気にねじ込んだ。
「アっ、ああぁ……っ!」
「も、どんだけオレを焚き付けたら気がすむ……ン、スか。これでラストにしようと、ハ……思ってたのに」
「だ、だって……涼太の……ン、顔が見たいの。好き……すき、だから」
「も、黙って」
重ねた唇で可愛いオネダリを封じる。
(マジ、壊しそ……)
はくはくと開く唇に、滑りこませた舌で口内を蹂躙しながら、力なくベッドに投げ出された手を取り指を深く絡める。
そっと覗き見た顔は、羞恥を忘れて快感に酔いしれる一人の女性の淫らな表情。
額に浮かぶ汗が、目尻からこぼれる涙が、キラキラと輝いて胸を焦がす。
(オレもやっぱ顔、見たいかも……)
腰に絡みつく足に、すべてを許されているような錯覚に陥りながら、黄瀬は最後の瞬間を共に刻むように絶頂への階段を駆け上がっていった。