第62章 痛い思い
すると彼は私の頭に優しくキスをして
大倉「・・・・やっぱり
勝てんのかと思った・・・」
私は彼の顔を見た
「大倉さん?」
その彼の言葉に私は突然
不安を感じたのだ
大倉「どんなんしても
アンタの心からは
消えんやろ?」
彼は悲しそうな瞳で私を見つめていた
私の心から彼が消える事はないだろ
でも・・・・
その私の心の大半を埋めているのは
彼なのに・・・
それをどう伝えればいいのだろ・・・
私は無言で彼の腕の袖を掴んだ
その事を彼は優しい表情で見つめた
「・・・・消したらダメなんです
それが私の罪だから・・・」
私は消えそうな声で伝えた
その瞬間に
私はまた強く抱きしめられたのだ
抱きしめながら
彼は苦しそうに首を振り続けていた
そして
大倉「・・・・ごめん」
私は辛そうに謝る彼を見つめた
大倉「・・・一緒に荷物を持つって言って
負けそうになって」
私はその言葉に驚いていた
「負けそうにですか・・・」
彼はそれから何も言わなかった
私も何も聞けなくなった
寂しく辛い沈黙が
二人の中に流れ続けたのだ
そして、私の心の中には
やはり話さなければという
後悔が生まれていた
時として
何をしても上手く進まない時はある
私たち二人は
今はそんな時だったのかも
しれなかったのだ