第58章 空回り

　私は辛かった

彼といる事が、辛かったのだ・・・


そんな私の気持ちを彼は感じていたのか


大倉「・・・俺が嫌いになったん？」



寂しそうに言った

私は首を振った



彼を嫌いになったのではない

今は自分の気持ちが見えないのだ



「・・・・違うの」



私は小さい声で答えた






彼も辛そうだった

そんな風にさせている自分に嫌気が差してくる



私は、どんどん自分が許せなくなっていた


そんな私に彼は優しく言った



大倉「なぁ・・・」



私はずっと彼の顔を見れずに

俯いていたが静かに顔を上げ

その私を見て



大倉「・・・どんなアンタでも

受け止めるって

言った気持ちは

変わってないから・・・」



小さく笑いながら私に伝えた

きっと、彼の最大限の強がりだと感じた




もし自分が立場が変わったら

きっとこの場にいられないだろ

好きな相手が突然冷たくなって

何も言わないのだらか




そんな中

彼は私に最大限の愛情を伝えてくれている




私の瞳から涙が流れる


それを彼は無言で優しく拭いてくれた




大倉「また、泣かせてもうたな・・・」



その寂しい言葉が私の胸に響く



「・・・ごめんなさい」


私はそれだけ言うのが

本当に精一杯だった