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科学班の恋【D.Gray-man】

第80章 再生の道へ



「じゃあまた後で」

「あ…はい」

「失礼しますっ」



コムイに見送られ、司令室の外に出される南とジョニー。
パタンと閉じる司令室のドア。
ドアが完全に閉まる寸前、南が向けた目はリーバーのそれと重なって、すぐに無機質なドアの壁に阻まれた。



「よし。じゃあリーバーくん説明」

「………はい」



振り返ってにっこりと笑ってくる。
そんなコムイに眉間の皺を深くしつつも、リーバーは大きく息を吐き出すと手元の資料を捲った。
今此処で優先すべきは仕事。
南の後を追うことではない。
それは生真面目で仕事人間であるリーバーらしい、当然の選択だった。



「本来寄生型は、人体とイノセンスが細胞レベルで結合し肉体を"対AKUMA武器"に造り変える。つまりイノセンスによる人体改造が行われた者のことを言います」

「例えばアレンくんの左腕やクロウリーの牙みたいにね。発動していない時は人の体と同じ形態でいるけど、その中身は人体とは別物の細胞組織で出来ているんだ」

「回りくどく言うなよ。要するに化け物になるってことだろ」

「貴様は言葉を選べんのか、ソカロ」



リーバーとコムイの説明に、ソファにふんぞり返るように座ったまま鼻で笑ったのは元帥の一人、ウィンターズ・ソカロ。
その隣に静かに腰掛けていた同じく元帥であるクラウドが、表情を一つも変えぬまま静かに否定する。



「き…気にしないでね、アレンくん…クロウリーさん」

「平気ですよ」

「である」



躊躇のないソカロの暴言に、こそりとミランダが気遣うようにアレンとクロウリーに小声で声をかける。
そんな彼女の優しさに、アレンは心配を掛けまいと、にこりと綺麗に笑ってみせた。
クロウリーもまた苦笑混じりに頷くのみ。

アレンは奇怪な左腕を持って生まれた所為で、親には捨てられた身。
クロウリーもまた牙のイノセンスが宿した特性で、吸血鬼と町の者達に恐れられ忌み嫌われた。
共に昔から異端な目を向けられるのは慣れている。

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