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科学班の恋【D.Gray-man】

第80章 再生の道へ



(少し…痩せた、か?)



だぼっとした余裕ある服やカーディガンの所為なのか、仕事中はきっちりと結ばれている髪が無造作に下ろされている所為なのか。
普段見慣れない姿はその顔も前とは違うように見えて、リーバーは堪らず一歩踏み出した。

そこに臆病な程に構えていた、南の痛々しい姿への恐怖はなかった。
寧ろ近くできちんと見たくて。



「うん。じゃあ南くんとジョニーは病室に戻っていいよ」

「「え?」」



さらりと出されたコムイの指示に、思わず重なったのはリーバーと南の声。



「今回の話はエクソシストにだけするつもりだったからね。退院して職場に戻って来たら、二人にも説明するよ。君達はまだ病人なんだし戻って体を休めること。これ上司命令」

「あ…はい」

「わかりました」



上司命令と言われれば、従う他ない。
おずおずと頷く南とジョニーに、焦りを見せたのはリーバー。

折角会えたのに。
ここで一言も言葉を交えられないなんて、嫌がらせなのか。



「ほら、何リーバーくんもぼさっとしてんの。君は皆にリナリーのイノセンスの説明」

「………」



じとっとした目を向けて指示を出してくる上司に、リーバーは瞬時に悟った。
嫌がらせなのか、ではない。
これは正真正銘嫌がらせだ。
この頭の良い癖ある上司は、敢えて自分と南を話させないようにしているのだ。



(そんな虫の良いこと、この僕が許す訳ないじゃないか)



ふっとコムイの口元に浮かぶ嫌な笑み。
そんな彼の心の声が届いてきそうな程に。

思わずぴくりと、リーバーの口元が怒りで震えた。

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