第80章 再生の道へ
「イノセンスの扱いは慎重なものだから、基本は研究員一人に一つ担当されるんだよ。南はアジア支部任務以来、リーバー班長に六幻の担当を任されてるし。その他のイノセンスは別の誰かが扱うことになると思うよ」
「えええ!なんさその指名制度的なもん!」
「え。納得いかない。なんですかその早い者勝ちみたいな任命の仕方。すっごく納得いかない」
「煩ぇな。決まりは決まりだろ。ギャーギャー文句言うんじゃねぇよ。餓鬼か」
「オレだって鉄槌は南専属がいいさ!ユウだけ狡い!すげー狡い!」
「もうアジア支部にいるんでしょ、そのズゥ老師って適任者が。じゃあわざわざ南さんが六幻担当しなくてもいいんじゃないですか。僕のイノセンス担当でお願いします」
「だから決まりは決まりだっつってんだろ!アジア支部に持ってくのが面倒だから椎名に頼んでんだよ!」
「ちょっと中国大陸まで運ぶくらいなんですか!我慢できないんですか!?僕なんて左手削られるんですよ!部分麻酔で強制的に削られる自分の肉体を見せ付けられるんですよ!?」
「知るかンなもん!テメェこそ我慢しやがれそれくらいッ!!」
「…うわあ」
ジョニーの言葉を聞いた途端、ぎゃあぎゃあと喚き出すティーンズ組。
これは止めるべきか否か。
此処にいる連中はチャオジーを除けば全員、外出禁止な身。
下手に目立つ行動は避けるべきだとは思うが。
(これ止めるの骨が折れそう…)
できるならあまり関わりたくないと、南はつい肩を落とした。
「南、ユウ相手じゃ疲れるだろ。オレの鉄槌の方が楽だって。てことでぜひお願いします」
「え。や…あの…」
「ってそこ抜け駆けするな馬鹿ラビ!」
「どさくさに紛れて何やってんだ!」
「ぁだッ!」
そんな南の手をがしりと両手で握って懇願するラビの頭部に、忽ち神田の放った竹刀がクリーンヒット。
二度目の撃沈を余儀なくされた。