第80章 再生の道へ
「外に出すと危なっかしいんだよ、お前。仕方ないからお守りくらいしてやる」
「…私もう子供じゃないんだけど…」
「それと六幻を下手に扱ってないかの監視」
「なんか信用されてない!」
「どうせ六幻がない間は任務に出られねぇんだし、暇潰しだ」
(暇潰しなら寧ろ遠慮願いたいんだけど…!)
そうは思うものの口には出せない。
言ったら睨まれるような気がした。
数日間任務で共に過ごしたからこそわかる、それが神田の暴君と呼ばれる性格だ。
「それが守れるなら任せてやる」
「……わかったよ」
きっぱり言い切る神田は譲る気配がない。
となると今度は神田と二人だけでアジア支部に向かう羽目になるのか。
そんな嫌な予感もしたが、不思議と以前程の抵抗はなかった。
恐らく、今度は二人きりでも空気が耐え切れないことはないと思えたから。
あのアジア支部への任務中に神田と交わした言葉の数々は、確かに自分と彼を繋いでくれた。
口は悪いし態度も素っ気無いけれど、呼べば応えてくれるしちゃんと自分のことも考えてくれる。
それを思えば、脱力気味にでも頷いている自分がいて内心南は驚いていた。
それだけ神田との距離を縮められたということだろうか。
「やー待て待て。そこは流石に色々黙ってられねぇんだけど、オレ」
「奇遇ですね僕もです」
はいっとそこに大きく挙手され割って入る手。
ラビとアレン二人のものだった。