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科学班の恋【D.Gray-man】

第80章 再生の道へ



「アレン…」

「………」



小さな声で彼の名を呟く。
そんなジョニーの隣で、南も顔を僅かに暗くした。

ああやっぱりな、と。
予想はしていた。
アレンの優しい性格は、よく知っていたから。



「んで、二人は何しに来たんさ?こんな所に用事でもあんの?」

「あ、うん。団服の採寸をね」

「ラビと神田とアレンの」

「って仕事してんのかよ!?」



よいしょ、と裁縫道具を抱えて車椅子から下りるジョニー。
それに手を貸しながら、ラビは二人の答えに驚いた。

まさかとは思っていたが悪い予感は当たった。
仕事をしに、こんな体で此処へ来ていたとは。
本当に期待を裏切らないというかなんというか。



「10代はすぐサイズ変わるからね」

「おーい!アレーン、神田ぁ~!」

「はー…ほんっと…仕事中毒さねぇ…」

「あはは、それ程でも」

「や、褒めてねぇから」



二人を呼ぶジョニーの隣で、照れ臭そうに笑う南は可愛かったが現実的なツッコミを一つ。
全く微塵も褒めていない。



「アレーン!神田ってばー!」



どったんばったん、ばきんごきん、と。
もう大工の仕事場のような打撃音が鳴り響く稽古場へと呼びかけるも、ジョニーの声は忽ちその騒音に消されてしまう。



「神田先輩~…」

「コラ!いい加減にしろッ!」



苦笑混じりに肩を落とすチャオジーに、声を張り上げるマリの静止も届かない。
ブックマンなんてそ知らぬ顔で煙草を吹かしている始末。



「あれを止められんのは元帥くらいじゃね…?」



一心不乱に鬼と化した二人がひたすらに殴り合っている。
そんな修羅場を目に半笑いで呟くラビの言葉は、強ち間違っていなさそうだと南も苦笑せざる終えなかった。
しかし止めてもらわねば採寸ができない。
仕事は早めに終わらせないと、医療班の者でも通りかかり見つかってしまえば大変だ。



(…仕方ない、)



「ラビ、先に採寸しよっか」

「へ?オレ?」

「うん。時間は有効活用しないと」



二人を待っている間にラビの採寸を終えるとしよう。
そうさっさと頭を切り替えると、二人への呼びかけはジョニーに任せるとして、南は赤毛の彼から寸法取りに掛かることにした。

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